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哺乳類の生殖生化学
−マウスからヒトまで−
本書の特色
  1. 実験動物から家畜、霊長類ヒトまでの生殖過程の特性を網羅し、初学者、基礎研究者から医療従事者まで幅広い読者に対応できます。
  2. 執筆者はこの分野で活躍中の若手研究者を中心に構成され、執筆者自身の最新の研究成果がふんだんに盛り込まれています。
  3. その一方で、広範な最新文献を網羅しており、初学者、関連分野の研究者が生殖の研究へ容易に目を向けることが出来るよう工夫されています。
  4. 分子レベルの生化学的・分子生物学的最新知見を中心に解説していますが、今後生化学的研究への展開が期待できるものは特に分子レベルに拘らず、積極的にとりあげてあります。
編著者 中野 實(千葉大学 理学部 教授)
荒木 慶彦(Vanderbilt大学 医学部 準教授)
執筆者 柳町 隆造(Hawaii大学 医学部教授)
森田  隆(大阪市立大学 医学部教授)
吉田 佳世(大阪市立大学 医学部)
赤間 邦子(千葉大学 大学院自然科学研究科助教授)
佐藤 英明(東北大学 農学部教授)
岡村 直道(筑波大学 医療技術短期大学部教授)
岡部  勝(大阪大学 遺伝情報実験施設教授)
馬場  忠(筑波大学 応用生物化学系教授)
山縣 一夫(筑波大学 応用生物化学系)
米沢 直人(千葉大学 理学部助教授)
年森 清隆(宮崎医科大学教授)
寺田 幸弘(Oregon霊長類研究センター生殖科学部門)
Gerald Schatten Oregon霊長類研究センター生殖科学部門教授)
斎藤  滋(富山医科薬科大学 医学部教授)
種部 恭子(富山医科薬科大学 医学部)
道又 敏彦(富山医科薬科大学 医学部)
津田  博(富山医科薬科大学 医学部)
塩田 邦郎(東京大学 農学部教授)
小宮ひろみ(Baylor医科大学 分子細胞生物学)
真貝 洋一(京都大学 ウィルス研究所助教授)
中潟 直己(熊本大学 動物資源開発研究センター教授)
星  宏良( 機能性ペプチド研究所所長)
永井  卓(東北農業試験場 畜産部室長)
小倉 淳郎(国立感染症研究所 獣医科学部室長)
井上貴美子(国立感染症研究所 獣医科学部)
越後貫成美(国立感染症研究所 筑波医学実験用霊長類センター)
若山 照彦(Rockefeller大学 生殖生物学助教授)
長谷川昭子(兵庫医科大学 先端医学研究所発生生殖部門)
繁田  実(兵庫医科大学 分娩新生児部助教授)
木村 康之(福島県立医科大学 産婦人科)
野原 理(琉球大学 医学部)
体裁/価格 体裁:B5判 540ページ 上製本
定価:本体22,000円+税
発行日/1999年12月10日
コードNo. 793
発刊にあたり
生物の根幹生命現象ともいえる「生殖」に関する研究の重要性は改めて強調する必要はないであろう。体外受精・胚移植が初めてヒトに応用されて以来20年、生殖補助技術はめざましい進歩をとげ、いまやこれらの技術は不妊治療においては中心的な役割を担っている。その一方で、遺伝子操作技術などの急速な進歩に伴い、分子レベルの研究がヒトを含めた哺乳類でも近年可能となってきた。しかしながら、現在統一した解釈が難しい混沌としたデータも数多く入り乱れてィり、さらに既にヒトにおいても応用されている技術の科学的・論理的裏付けは必ずしも明らかになっていないのが現状である。この技術先行の感がある哺乳類生殖研究の現状を分子レベルの知見を中心に整理し、またその問題点を多角的に明かにしようと試みたのが本書の出版目的である。実験動物であるマウスから家畜、霊長類ヒトまで、その生殖過程の特性を普遍的・種特異的な生化学・分子生物学的知見を中心に最新の文献を紹介しながら分かり易く、かつ詳しく解説している。執筆者は理学・農学・医学それぞれのバックグラウンドを持つ第一線の研究者30人により構成され、従来の本には見られない学際的な内容になっている。とかく華やかで話題性のある生殖技術の応用面ばかりでなく、その科学的根拠となる地味な基礎的研究に初学者から専門家までが目を向けるための指針となるよう心がけた。農学・理学系の大学院生、専門家から初期研修医、不妊治療専門医までの幅広い要求に応えうる内容を擁していると自負している。
目次
巻頭文/編著者より/執筆者一覧
第I編 基礎編
【第1章】配偶子の形成
1.1 減数分裂
 1.1.1 減数分裂
 1.1.2 減数分裂における染色体構造の変化
 1.1.3 減数分裂における組換え機構のモデル
 1.1.4 哺乳動物における染色体の対合
   1) 減数分裂における組換え遺伝子
   2) RAD51およびDMC1タンパクによる相同染色体の対合
   3) 相同染色体の対合の場
   4) 組換えタンパクによる相同染色体対合反応のモデル
   5) 染色体の対合におけるテロメアの役割
 1.1.5 染色体の対合から交差へ
 1.1.6 減数分裂のチェックポイント
 1.1.7 減数分裂の役割
1.2 精子完成過程
 1.2.1 減数分裂期の精子細胞核タンパク質
 1.2.2 精子細胞染色体の再編成と核タンパク質の変遷
   1) 精子細胞核特異的変遷タンパク質
   2) プロタミン
   3) 副精巣における精子の熟成
   4) 精子核プロタミンとDNAとの結合様式
1.3 卵子形成
 1.3.1 原始生殖細胞から卵母細胞への分化
 1.3.2 減数分裂の開始と休止
 1.3.3 卵胞形成、卵母細胞の成長と透明帯の形成
 1.3.4 卵子の選択的形成と血管系
 1.3.5 卵母細胞の死滅
 1.3.6 卵母細胞の成熟
   1) 卵母細胞の発育と成熟能力
   2) 卵母細胞の成熟開始機序
   3) MIS
   4) MPF
   5) Cdc2キナーゼの活性化機序
   6) 排卵の時期
 1.3.7 受精による減数分裂休止解除の機序
 1.3.8 卵母細胞の成熟と受精・発生能
   1) 細胞質成熟
   2) 卵丘膨化とその調節
【第2章】精子と卵子の結合
2.1 卵管内環境
 2.1.1 精子と卵管上皮の直接的相互作用
 2.1.2 卵管液中に存在する因子の配偶子・接合子に対する作用
   1) タウリン/ヒポタウリン
   2) 重炭酸イオン
   3) 糖修飾酵素
   4) 卵管上皮由来分泌糖タンパク質
2.2 精子の受精能の獲得
 2.2.1 副精巣における精子成熟
   1) 副精巣細管上皮細胞の機能分化と精子成熟
   2) 副精巣で特異的に発現しているタンパク質と精子成熟
   3) 副精巣の機能調節のメカニズム
 2.2.2 受精能獲得
   1) 受精能獲得と細胞内シグナル伝達
   2) 受精能獲得におけるコレステロールの役割
   3) 受精能獲得のレドックス制御
2.3 精子表層の卵子結合タンパク質
 2.3.1 精子表層の多様性
 2.3.2 卵子表層の多様性
 2.3.3 相互作用に関与する因子
   1) 透明帯結合因子
   2) 卵子細胞膜結合/融合因子
 2.3.4 遺伝子操作動物を用いた研究
2.4 精子先体内諸酵素
 2.4.1 先体(アクロソーム)
 2.4.2 アクロソーム反応
 2.4.3 先体内諸酵素
   1) プロテアーゼ
   2) グリコシダーゼ
   3) そのほかの酵素
2.5 卵子表層透明帯の構造と機能
 2.5.1 透明帯の構成成分
 2.5.2 透明帯構成成分の一次構造
 2.5.3 透明帯構成成分の遺伝子発現
 2.5.4 透明帯の高次構造および構築
 2.5.5 透明帯の糖鎖構造
 2.5.6 透明帯の機能
   1) 精子結合活性の検出方法
   2) 精子結合活性を有する構成成分
   3) 精子結合糖鎖について
   4) 精子結合活性ドメインについて
   5) 透明帯の先体反応誘起活性
【第3章】受精の成立
3.1 精子と卵子の融合・前核形成
 3.1.1 精子と卵子の融合
   1) 卵子の接着/融合関連分子
   2) 精子の接着/融合関連分子
 3.1.2 前核形成
   1) 雌性前核形成
   2) 雄性前核形成
3.2 多精拒否機構
 3.2.1 多精拒否とは
 3.2.2 ウニの多精拒否
 3.2.3 哺乳類の多精拒否
   1) 卵細胞膜の電位変化
   2) 表層粒崩壊によって放出される酵素
   3) 多精拒否が起こる場所
   4) 透明帯反応
   5) 受精による透明帯の性質の変化
   6) 精子受容体とその受精後の変化
   7) 精子受容体(一次受容体)以外の透明帯構成成分の変化
   8) 受精による透明帯の性質と構造の変化と多精拒否
   9) 細胞膜での多精拒否
   10) 多精が起きた場合
 3.2.4 展望
3.3 受精に伴う細胞骨格形成
 3.3.1 受精における細胞骨格−概説−
 3.3.2 配偶子形成における細胞骨格形成
   1) 精子の細胞骨格
   2) 卵の細胞骨格
 3.3.3 受精におけるMFの形成
   1) マウス
   2) 家畜、霊長類
 3.3.4 受精におけるMTの形成
   1) MTOCとしての中心体の構造と機能
   2) マウス
   3) ウサギ
   4) ヒト
   5) 中心体の機能評価:不妊臨床とのかかわり
 3.3.5 ICSIにおける細胞骨格形成
3.4 着床
 3.4.1 胞胚と子宮内膜上皮との接着、子宮内への浸潤
   1) 胞胚と子宮内膜上皮の接触・接着
   2) 子宮内膜上皮細胞間および基底膜へのトロホブラストの侵入
   3) 子宮内膜間質 (脱落膜) 内でのトロホブラストの浸潤・分化
 3.4.2 着床と血管新生
   1) 血管新生促進因子
   2) 血管新生抑制因子
 3.4.3 免疫学的立場からみた妊娠維持機構
   1) 脱落膜における免疫細胞の特殊性
【第4章】生殖環境特異機構
4.1 胎盤の構造と機能
 4.1.1 胎盤の構造と栄養膜細胞の分化
   1) 胎盤の発達と構造
   2) 胎盤の発達と遺伝子
   3) 胎盤のガングリオシド組成
   4) 栄養膜細胞における巨核DNAの形成
   5) 胎盤の発達とゲノムDNAメチル化
 4.1.2 胎盤特異ホルモン
   1) 胎盤性プロラクチンファミリー
   2) 絨毛性性腺刺激ホルモンにおける糖鎖の生物学的意義
   3) 胎盤の進化と遺伝子発現
4.2 核内レセプターの分子制御機構
 4.2.1 核内レセプターにおけるリガンド
 4.2.2 核内レセプタースーパーファミリー
   1) 核内レセプターの構造
   2) 核内レセプターとDNAの結合
   3) 核内レセプターによる標的遺伝子の活性化及び不活化
 4.2.2 核内レセプターと相互作用するタンパク質
   1) 基本転写因子2) コアクチベーター
   3) コリプレッサー
 4.2.4 性ステロイド
   1) エストロゲン
   2) プロゲステロン
4.3 哺乳類テロメアの構造と機能
 4.3.1 テロメラーゼの構成成分
 4.3.2 テロメアの果たす役割とは
   1) Tercを欠損したマウスと胎児幹細胞(embryonic stem cell;ES細胞)から明らかにされたこと
   2) トランスフェクションによる実験から明らかにされたこと
 4.3.3 テロメラーゼに依存しないテロメア維持機構
 4.3.4 何故テロメア末端は単なるDNAの二重鎖切断末端とは認識されないのか
第II編 展開編
【第1章】生殖補助技術
1.1 生殖細胞の凍結保存
 1.1.1 雄性生殖細胞の凍結保存
   1) 精子の凍結保存
   2) 精細胞の凍結保存
   3) 精子の凍結乾燥
 1.1.2 雌性生殖細胞
   1) 未受精卵の凍結保存
   2) 未成熟卵(卵胞卵)の凍結保存
   3) 卵巣の凍結保存
 1.1.3 受精卵・胚の凍結保存
 1.1.4 その他の細胞の凍結保存
   1) ES細胞およびPGCの凍結保存
   2) 卵丘細胞の凍結保存
1.2 生殖細胞の体外培養
 1.2.1 卵子の体外培養
   1) 卵子の体外発育培養
   2) 卵子の体外成熟培養
 1.2.2 精子の体外培養
   1) 精子形成
   2) 精子の体外培養
   3) 精子形成に関与する因子及び遺伝子発現
1.3 牛・豚の体外受精
 1.3.1 体外受精の歴史
   1) 雌性生殖器を用いた精子の受精能獲得
   2) 培養液のみを用いた精子の受精能獲得
   3) 体外成熟卵子の体外受精による産子の生産
 1.3.2 未成熟卵胞卵子(卵母細胞)の体外成熟培養
   1) 食肉処理場で採取した卵巣から回収した卵母細胞の体外成熟
   2) 経膣反復採卵:OPU(牛)
 1.3.3 現行の体外受精方法
   1) 牛
   2) 豚
 1.3.4 体外成熟・受精卵の体外培養
   1) 牛
   2) 豚
 1.3.5 牛体外受精の問題点及び解決策
1.4 哺乳類の顕微授精
 1.4.1 顕微授精の分類
 1.4.2 精子を用いた顕微授精
   1) ICSIから始まった顕微授精の歴史
   2) マウスICSI技術の完成
   3) 各動物種におけるICSIの状況
   4) 成熟精子を用いたICSIの応用
   5) 精巣内精子によるICSI
   6) 透明帯を処理する顕微授精 (SUZI, PZD)
 1.4.3 精細胞を用いた顕微授精
   1) 精細胞を用いた顕微授精の意義
   2) 精細胞を用いた顕微授精の方法
   3) 精細胞を用いた顕微授精の成果
   4) 精細胞を用いた顕微授精の応用
   5) 精祖細胞の利用
1.5 クローン技術
 1.5.1 核移植の歴史
 1.5.2 レシピエント卵子の影響
   1) 未受精卵
   2) 前核期卵
   3) 2細胞期卵
   4) 連続核移植
 1.5.3 ドナー細胞の影響
   1) ドナー細胞の種類
   2) ドナー細胞の細胞周期
   3) ドナー細胞の卵子への影響
 1.5.4 再構築胚の発生
   1) 初期化
   2) 刷り込み遺伝子
   3) 加齢と寿命
   4) 同一性
 1.5.5 マウスの体細胞クローン作出法
 1.5.6 その他の核移植技術
 1.5.7 クローンの利用と今後の展開
【第2章】避妊と不妊
2.1. 避妊ワクチン
 2.1.1. ホルモン
   1) hCG
   2) FSHとそのレセプター
 2.1.2. 精子抗原
   1) 乳酸デヒドロゲナーゼアイソザイムC4(LDH-C4)
   2) SP-17(RSA-3)
   3) SP-10
   4) PH-20
   5) FA-1
 2.1.3 卵透明帯
   1) ブタ透明帯の構造と抗体の作用
   2) 抗透明帯抗体による受精阻害メカニズム
   3) 組換体タンパク質を用いたワクチン
   4) 合成ペプチドを用いたワクチン
 2.1.4 アジュバンドとデリバリーシステム
2.2 免疫性不妊
 2.2.1 自己免疫と不妊
   1) 自己免疫性卵巣炎と抗透明帯抗体
   2) 子宮内膜症、原因不明不妊症と自己抗体
 2.2.2 精子免疫と不妊症
   1) 男性における精子免疫の成立機序
   2) 女性における精子免疫の成立機序
   3) 抗精子抗体の測定
   4) 対応抗原の分析
   5) 不妊症の発症機序
   6) 抗精子抗体による不妊症の治療法
2.3 顕微授精の臨床応用
 2.3.1 顕微授精の種類
 2.3.2 顕微授精の臨床応用の歴史と現状
   1) 透明帯開口法・囲卵腔内精子注入法
   2) 卵細胞質内精子注入法(intracytoplasmic sperm injection; ICSI)
   3) 精子細胞の卵細胞質内注入法
   4) 精母細胞の卵細胞質内注入法
 2.3.3 顕微授精の臨床応用にまつわる諸問題
   1) 染色体・遺伝子異常の継承
   2) ICSIに用いる精子の条件
   3) ICSIは安全な手技か -臨床応用の結果より-
   4) ゲノムインプリンティング
   5) 基礎研究と臨床応用
2.4 不妊治療−生殖生物学的に見た現状と問題点−
 2.4.1 ヒト体外受精法
   1) 対象患者の選択
   2) 排卵誘発法
   3) 卵胞モニタリング
   4) 採卵
   5) 卵培養
   6) 精子調整法
   7) 媒精法
   8) 顕微授精法
   9) 受精確認および卵培養法
   10) 胚移植
   11) 黄体補充療法
 2.4.2 不妊治療の問題点
【第7章】和文索引/欧文索引/執筆者連絡先
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