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多形現象のメカニズムと多形制御
− 医薬、アミノ酸、無機化合物から包接結晶まで −

結晶多形の基礎から応用まで先駆的な研究を行ってきた著者の集大成

物質の特徴に対応した物性測定、転移挙動の解析など基礎から多形制御技術までのエッセンスが得られる。

多形問題へのアプローチの仕方から解決法まで、物質の特徴に対応した具体的な指針が余すところ無く示される。
本書の特色
 
  1. 晶析の基礎から多形現象の理論や実験法など多形の基礎ならびに実際の多形制御までが学べる。
  2. 医薬、アミノ酸、炭酸カルシウム、包接結晶など幅広い材料の実際の多形現象とそのメカニズムを詳述する。これにより、具体的な多形制御の考え方と多形現象へのアプローチの方法が示されている。
  3. 添加物のモルフォロジーや析出速度への影響とそのメカニズムを示すとともに添加物と多形現象との関係を解説している。
  4. 多形現象に及ぼす溶媒効果やメカニズムを詳述すると共に、溶媒効果を利用する多形制御を示している。
  5. 分子構造−結晶構造−平衡物性−多形現象の間の相関性を検討することにより多形制御の方向性が示されている。
  6. 医薬をはじめさまざまな分野での応用が期待される包接結晶(clathrate, cocrystal)の多形現象とメカニズムならびにその制御について紹介している。
  7. 冷却、反応、貧溶媒晶析法など各物質に対応した晶析操作法と、各操作で特徴的に現れる多形現象を明らかにするとともに制御方法を示している。
著 者
兵庫県立大学 大学院工学研究科
機械系工学専攻 環境エネルギー工学部門教授 北村 光孝
体裁/価格 体 裁/B5判 379ページ 上製本
発 行/アイピーシー出版部
定  価/38,850円(本体37,000円+消費税1,850円)
発刊日/2010年8月10日
発刊にあたり

多形の制御技術は材料開発における戦略上鍵となる基盤技術である。
多形現象が多くの学会でも知られるようになったのは、まだ20年ほど前のことである。
その後、結晶構造解析装置や種々の分析装置の性能アップなどもあり、多形現象が一般に知られる重要な課題となってきた。
特に、医薬、食品など重要な機能性結晶の性質を決定ずける物質の重要な因子として多形の認識が高まり、その制御の重要性がクローズアップされてきた。
著者はこれまで医薬、アミノ酸、炭酸カルシウム、包接化合物など幅広い材料の多形現象に関して先駆的な研究を行ってきた。
これら多形の析出過程では多形の競争的核発生、成長、転移が複合的に起こり、多形現象を複雑にしている。
著者は種々の物質の析出過程についてさまざまな方法と独自の研究を行い、多形現象のメカニズムを明らかにするとともに、多形制御の要因を示してきた。
また、同時に物質の分子構造、結晶構造、平衡物性と多形現象の関係を見出し、多形制御への応用を検討してきた。
本書は晶析の基礎から多形現象の基礎、さらには制御技術までに渡る著者の集大成であり、多形制御への指針を示すものである。

目次
はじめに
基礎編
第1章 晶析の基礎
1.1 固液平衡(共晶系と固溶体系)
1.2 溶解度と粒径の関係
1.3 晶析法(過飽和生成法)
1.4 結晶の析出過程
1.4.1 核発生
1.4.2 結晶成長
1.4.3 結晶の形状変化
1.4.4 結晶の粒径依存性とGrowth rate dispersion
1.5 実際の撹拌槽中での結晶の核発生と成長過程
1.5.1 2次核の発生ならびに成長挙動
1.5.2 成長速度の測定
1.5.3 成長速度の粒径依存性に関する検討
1.5.4 単一結晶の成長速度との比較
第2章 晶析における添加物効果の基礎と実際

2.1 添加物効果の基礎
2.2 結晶の析出過程における添加物効果の実際
2.2.1 固溶体形成による結晶中への添加物の混入
(研究例:OCBA―BA−トルエン3成分系)
2.2.2 固溶体系での析出速度と結晶組成の関係
(研究例:K-alum+NH4-alum系など)
2.2.3 イオンの吸着による成長阻害
(研究例:硫酸アンモニウム-Cr3+イオン系)

第3章 結晶多形現象の基礎

3.1 多形の熱力学と溶解度
3.2 多形の溶解度測定方法と分析方法
3.3 多形の析出過程
3.3.1 多形の核発生
3.3.2 多形の成長過程
3.3.3 転移過程
3.3.4 固相転移の検討例(スルファチアゾール)
3.4 多形制御における操作因子

応用編
第4章 アミノ酸多形現象のメカニズムと多形制御

4.1 L-グルタミン酸多形の析出メカニズムと制御因子
4.2 L-グルタミン酸多形単一結晶の成長メカニズムとモルフォロジー変化
4.3 L-グルタミン酸結晶の成長表面のAFM観察
4.4 L-ヒスチジン多形の析出メカニズムと制御因子
4.5 L-ヒスチジン多形の析出挙動における溶媒効果

5章 炭酸カルシウム多形の析出と制御因子

5.1 CaCl2+NaCO3系における炭酸カルシウム結晶多形の析出
5.1.1 純粋系からの析出挙動
5.1.2 マグネシウムイオンの多形の析出挙動に及ぼす影響と結晶中への混入
5.1.3 炭酸カルシウム多形の析出における温度効果
5.2 Ca(OH)2-Na2CO3系での多形現象と制御
5.2.1 反応晶析の実験装置および方法
5.2.2 均一系での実験と多形の析出挙動
5.2.3 不均一系での実験と多形の析出挙動
5.2.4 Ca(OH)2-Na2CO3系での温度効果とメカニズム

第6章 医薬BPTの多形現象と操作因子

6.1 BPT多形の溶解度と転移挙動の溶媒組成ならびに温度依存性
6.2 BPTの貧溶媒晶析操作における制御因子
6.3 BPT多形の貧溶媒晶析操作における温度効果
6.4 多形制御における種晶効果ならびに超音波効果
6.4.1 貧溶媒晶析での多形の析出における種晶効果
6.4.2 貧溶媒晶析での多形の析出における超音波の効果

第7章 アミノ酸の多形現象における添加物効果

7.1 L-グルタミン酸(L-Glu)の回分晶析における添加物効果
7.2 L-グルタミン酸多形の結晶成長における添加物効果のメカニズム
7.3 種々のアミノ酸添加物によるL-グルタミン酸α形への成長阻害と混入のメカニズム
7.3.1 L-Gluの成長阻害と添加物の混入に及ぼすアルキル置換基の大きさの影響(第一系列)
7.3.2 L-Gluの成長阻害と添加物の混入に及ぼす環状置換基の影響(第二系列)

第8章 分子構造と結晶構造ならびに多形現象の相関

8.1 BPTエステル(BPT-est(CN))の結晶構造ならびに多形現象におけるアルキル基分子サイズの効果
8.2 BPTエステル(H)の結晶構造ならびに多形現象におけるCN基効果

第9章 多形現象における溶媒効果のメカニズムと分子構造との相関

9.1 BPTの多形現象と溶媒効果(急速冷却法)
9.2 BPTエステル(BPT-est(CN))多形の析出挙動への溶媒効果と分子構造との相関
9.3 BPTエステル(BPT-est(CN))の多形現象におけるCOOH基効果
9.4 BPTエステル(BPT-est(CN)、BPT-est(H))の分子構造と平衡物性ならびに溶媒効果の関係

第10章 包接結晶の多形現象と制御因子

10.1 Ni錯体ホストと有機化合物異性体の包接結晶多形現象
10.1.1 Ni錯体ホストによるキシレン異性体の分子認識と包接結晶多形現象
10.1.2 Ni錯体ホストと1-、2-メチルナフタレン異性体の包接結晶多形の析出挙動
10.1.3 Ni錯体ホストを用いる1-、2-メチルナフタレン混合系の分離メカニズムと分離効率
10.2 ジオール系ホスト(DHC)の分子認識と包接結晶多形の析出挙動
10.2.1 DHCによるd-リモネン包接結晶の析出挙動と徐放化
10.2.2 DHCによる2-ANの包接化における溶媒効果
10.3 TEPホスト包接結晶からの殺菌剤(CMI)の徐放過程と多形の析出挙動
10.3.1 TEPホスト包接結晶からの殺菌剤の徐放化とメカニズム
10.3.2 包接結晶からの徐放化モデルならびに攪拌効果と温度効果
10.3.3 TEP包接結晶多形の析出挙動と溶液組成の相関

第11章 超臨界流体を利用した晶析における粒径ならびに多形制御
おわりに
文献
索引
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