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X線吸収分光法 −XAFSとその応用−
本書の特色
1、X線吸収分光、特に、XAFS法について理論、解析法、実験法、その様々な応用まで幅広くとり上げており、XAFS法に取り組もうとする初学者から専門家までの広範囲の読者に役立つように配慮されている。
2、XAFS法以外に、最近活発に研究が始まった関連手法についても取り上げ、XAFS専門家がさらに新しい研究分野に入りこむにも役立つように配慮されている。
3、執筆者はXAFS分野の第一線で活躍している研究者を中心に構成されており、基礎はもちろんのこと、最新の研究成果、文献も網羅されている。
4、解析法の詳細な記述と併せて、実験に必要な様々なデータも付録に載せており、XAFSの実験や解析にもハンドブックとして直ぐに役立つ。
編著者 太田 俊明 東京大学・大学院理学系研究科 教授
執筆者一覧
(五十音順)
朝倉 清高 北海道大学・触媒化学研究センター
雨宮 健太 東京大学・大学院理学系研究科
池浦 広美 産業技術総合研究所・光技術研究部門
石井 眞史 高輝度光科学研究センター
宇田川康夫 東北大学・多元研究所
岡本 篤彦 中部大学・総合工学研究所
片山 芳則 高輝度光科学研究センター
菊地 昌裕 理化学研究所・播磨研究所
北島 義典 物質構造科学研究所
小出 常晴 物質構造科学研究所
近藤 寛  東京大学・大学院理学系研究科
櫻井 雅樹 東北大学・金属材料研究所
篠田 弘造 東北大学・大学院工学系研究科
城  宣嗣 理化学研究所・播磨研究所
関  一彦 名古屋大学・物質科学国際研究センター
田中 庸裕 京都大学・大学院工学研究科
田渕 雅夫 名古屋大学・工学研究科
田路 和幸 東北大学・工学系研究科
中井 泉  東京理科大学・理学部
沼子 千弥 徳島大学・総合科学部
野村 昌治 物質構造科学研究所
林  久史 東北大学・多元研究所
間瀬 一彦 質構造科学研究所
松原英一郎 東北大学・金属材料研究所
圓山 裕  広島大学・大学院理学研究科
横山 利彦 分子科学研究所
渡辺 巌  大阪女子大学理学部
体裁/価格 B5判 293ページ
定 価 本体5,000円+税
発刊日 2002年6月28日
コードNo.921
発刊に際して
X線吸収微細構造 XAFSが物質の局所構造の解析手段として利用されるようになって早くも30年が経った。バルク固体、非晶質、溶液、生物、表面・界面など幅広い応用が可能であり、物性研究者にとっては知っておかねばならない実験法の一つである。しかし、XAFSは可視紫外吸収や赤外吸収のように手軽に測定し、解析できるというものでは無い。生半可な知識で用いると間違った結論を引出すこともあるので、ちゃんと解析法や実験法を理解して適用しなくてはならない。
 XAFSについては、邦文の教科書が1992年発刊されているが、その後10年の間に光源としての放射光の発展とあいまって、実験法や解析法もますます高度化し、さらに、関連手法もさまざまに開発された。本書はそのような状況を踏まえ、XAFSの基礎からこの10年間の発展を含めて、教科書的な要素とハンドブック的な要素を併せ持ったものに編集された。本書によって読者がXAFSに関心を持ち、XAFSを用いた研究を始めることを、また、これまでXAFS専門家にとっても新しい発
展があることを心より願っている。
目次および執筆者
第1章 序論(太田)
1.1 物質と電磁波の相互作用
1.2 X線吸収分光の歴史
 参考文献
第2章 XAFSの理論(横山)
2.1 はじめに
2.2 一回散乱XAFS
2.2.1 Fermiの黄金律と双極子近似
2.2.2 EXAFSの主要因
2.2.3 付加的な因子
2.2.4 LIII、II吸収端EXAFS
2.3 多重散乱理論
2.3.1 Green関数
2.3.2 全多重散乱理論
2.3.3 FEFFの逐次展開多重散乱
2.3.4 FEFFの散乱ポテンシャル
2.4 Debye-Waller因子
2.4.1 動径分布の非対称性とキュムラント展開
2.4.2 調和近似のEinsteinモデル
2.4.3 調和近似の結晶格子・多原子分子
2.4.4 Debyeモデル
2.4.5 量子力学的非調和振動子のDebye-Waller因子
2.4.6 経路積分法によるDebye-Waller因子
2.5 XANES
2.5.1 理論の概要
2.5.2 応用例
2.5.3 マッフィンティン近似を越えて
2.6 終わりに
参考文献
第3章 XAFSの解析(朝倉)
3.1 はじめに
3.2 解析の流れ
3.2.1 吸収端の決定と波数への変換
3.2.2 バックグラウンドの除去
3.2.3 規格化
3.2.4 フーリエ変換
3.2.5 カーブフィッティング
3.3 位相シフトと後方散乱強度、経験的パラメータの導出、FEFF
3.3.1 標準化合物を用いる方法
3.3.2 理論計算で求める方法
3.4 フィッティングの信頼性・誤差
3.5 Ratio法
3.6 非対称原子分布と無秩序
3.7 XAFS解析のQ and A
3.8 XANESの解析
参考文献
第4章 XAFSの実験法
4.1 放射光硬X線XAFS(野村)
4.1.1 XAFS実験と放射光
4.1.2 放射光と放射光実験施設
4.1.3 XAFS実験用ビームライン
4.1.4 XAFS実験に用いる光学素子
(1)分光結晶
(2)ミラー
4.1.5 二結晶分光器
4.1.6 X線ビームの集光
(1)サジタル集光
(2)ミラーを用いた集光
4.1.7 高次光の制御
4.1.8 検出系・制御系
参考文献
4.2 透過XAFS法(野村)
4.2.1 最適な試料の厚さ
4.2.2 透過法実験用の試料厚さの算出
4.2.3 試料の調製
4.2.4 グリッチ
4.2.5 その他の実験上の注意点
(1)エネルギーの校正
(2)厚さ効果
(3)試料の位置合わせ
参考文献
4.3 蛍光XAFS法(野村)
4.3.1 蛍光法
4.3.2 透過法との比較
4.3.3 実験上の注意点
4.3.4 蛍光XAFS用電離箱
4.3.5 半導体検出器
参考文献
4.4 全反射XAFS (朝倉)
4.4.1 はじめに
4.4.2 原理
4.4.3 実験法
4.4.4 応用
(1)反射スペクトル
(2)全電子、転換電子、蛍光X線スペクトル
参考文献
4.5 転換電子収量法(渡辺)
4.5.1 装置の構成
4.5.2 装置の原理
4.5.3 特徴
(1)試料の測定領域
(2)厚い試料の測定
(3)粉末試料の測定
(4)絶縁性試料の測定
参考文献
4.6 軟X線領域のXAFS(北島・雨宮)
4.6.1 はじめに
4.6.2 軟X線領域XAFS測定の問題点
(1)透過能の小ささ
(2)妨害元素の問題
4.6.3 測定法
(1)透過法 
(2)蛍光法 
(3)電子収量法
(4)その他の方法
4.6.4 軟X線領域の光源に関する問題
(1)結晶分光器
(2)回折格子分光器
4.6.5 特殊な測定
参考文献
4.7 時分割XAFS(野村)
4.7.1 はじめに
4.7.2 不安定化学種のXAFS実験
(1)急速凍結法
(2)フロー法
4.7.3 ステップスキャン方式
4.7.4 QEXAFS法
4.7.5 DXAFS 法
参考文献
4.8 マイクロXAFS(池浦)
4.8.1 X線のマイクロビーム化
(1)Kirkpatrick-Baez法
(2)ゾーンプ
(3)状態選別 XAFSのための蛍光X線選択および価数選別XAFS
(4)スピン状態選別XAFS
(5)寿命幅を除去した高分解能XAFS測定
(6)本法の問題点、および今後の課題
4.9.2 キャパシタンスXAFS
(1)半導体中の欠陥の状態分離
(2)半導体表面の状態分離
(3)デバイス構造などその他の状態分離
4.9.3 X線励起発光(XEOL)
参考文献
4.10 特殊条件下のXAFS(片山)
4.10.1 温度
4.10.2 高圧
(1)ガス圧
(2)固体圧縮
(3)ダイヤモンドアンビルセル
(4)大容量プレス
参考文献
4.11 実験室光源を用いたXAFS (宇田川・田路)
4.11.1 はじめに
4.11.2 X線源
4.11.3 分光器
4.11.4 検出器とXAFS測定法
4.11.5 測定上の注意:蛍光法を中心にして
参考文献
第5章 XAFSの応用
5.1.1 はじめに
5.1.2 触媒のXAFS測定法
5.1.3 金属触媒
5.1.4 金属酸化物触媒
(1)バルク酸化物触媒
(2)担持触媒
参考文献
5.2 溶液・錯体(渡辺)
5.2.1 金属錯体のXAFS
(1)XANES
(2)EXAFS
5.2.2 溶液のXAFS
5.2.3 試料の調製
(1)固体試料の作成法
(2)液体試料の作成法
参考文献
5.3 電気化学材料(中井)
5.3.1  はじめに
5.3.2 in situ XAFS測定
5.3.3 リチウム2次電池の充放電プロセスの解析
(1)ダイナミックな局所構造変化の追跡
(2)固溶体の解析
(3)電解液に溶出した希薄物質の状態分析
(4)二次元in situ XAFS分析とイメージング
5.3.4まとめ
参考文献
5.4 有機材料(関、近藤)
5.4.1 有機材料のXAFS測定
5.4.2 空準位の電子構造
5.4.3 分子の配向性
5.4.4 単分子膜の吸着構造
参考文献
5.5 環境化学(沼子)
5.5.1 環境科学試料の特徴
5.5.2 環境試料の調製法
5.5.3 応用例
参考文献
5.6 生物化学(菊池・城)
5.6.1 はじめに
5.6.2 測定上の注意点
(1)試料作成
(2)測定
(3)解析
5.6.3 XANESスペクトル
5.6.4 軟X線領域のXAFS
5.6.5 今後の展望
参考文献
5.7 非晶質材料(桜井)
5.7.1 はじめに
5.7.2 実験方法の特徴
5.7.3 XAFSの非晶質物質の構造解析への応用と展開
5.7.4 構造解析の問題点
5.7.5 まとめ
参考文献
5.8 半導体材料(田渕)
5.8.1 半導体研究におけるXAFS
5.8.2 蛍光測定
5.8.3 試料・検出器の配置
(1)低角入射
(2)X線回折の影響
(3)全反射測定
(4)測定限界
5.8.4 半導体中の不純物の測定例
5.8.5 半導体材料研究におけるXAFSの今後
参考文献
第6章 XAFS関連手法
6.1 軟X線磁気円二色性(小出)
6.1.1 X線磁気円二色性の特徴と原理
6.1.2 XMCD軌道総和則とスピン総和則
6.1.3 軟X線領域のXMCD実験法
6.1.4 軟X線MCDの応用例
(1)ペロブスカイト型Mn酸化物の磁性
(2)Coナノクラスター/Au(111)の界面磁気モーメントの直接決定
参考文献
6.2 硬X線磁気円二色性(圓山)
6.2.1 はじめに
6.2.2 硬X線MCDの実験法
6.2.3 硬X線MCDの応用例
(1)3d遷移金属K吸収端XMCD
(2)3d-4f金属間化合物の希土類LII,III吸収端XMCD
(3)遷移金属・白金合金のPt-L 吸収端XMCD
(4)Gd/Fe多層膜磁性体のXMCD
6.2.4 今後の展望
参考文献
6.3 X線と電子線の非弾性散乱によるXAFS測定
  (宇田川・林・篠原)
6.3.1 非弾性散乱とXAFS
6.3.2 非弾性散乱の実験
6.3.3 非弾性散乱スペクトルの例とその可能性
6.3.4 電子エネルギー損失スペクトルの測定
6.3.5 電子エネルギー損失スペクトルの測定例
参考文献
6.4 X線異常散乱(松原)
6.4.1 AXS法
6.4.2 DAFS法
参考文献
6.5 X線励起光化学反応(間瀬)
6.5.1 はじめに
6.5.2 オージェ電子―光イオン・コインシデンス分光法
6.5.3 X線励起光化学反応の研究例
(1)凝縮H2Oの酸素内殻電子イオン化に由来するH+脱離
(2)凝縮H2Oの4a1<--O:1s共鳴遷移に由来するH+脱離
6.5.4 まとめと今後の展望
参考文献

付録
(a)X線エネルギー
(b)Victoreen 係数
(c)主な吸収端に対するBragg 角計算値索引
購入数